安保法「最大の被害者」は自衛隊
防衛予算は増えず「危険任務」は拡大
2015年10月号
安全保障関連法は安倍晋三首相独りの思いで成立したと言っても過言ではない。世間の論点は「戦争に巻き込まれるのか」「抑止力が高まるのか」。ところが、これはあくまでも安保法だけに着眼した話であって、肝心要の自衛隊の人員や装備、予算は置き去りだ。首相は独り悦に入っているが、こんな状態で新たな任務を強いられる自衛隊こそ、最大の被害者となる。現場の人間を二の次にして安保法を成立させた政府、与党は無論、これを許した野党の不作為の罪の重さは計り知れない。
自衛官にとって「底なし沼」
「平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制で、戦争を未然に防ぐためのものだ。(中略)参議院では野党からも複数の対案が提示され、議論も深まったと思う」。九月十九日午前二時二十分すぎ、首相官邸。安保法の成立を受け、首相はこう力説し、翌二十日には山梨県山中湖村でゴルフに興じた。
野党三党の賛成を得たとアピールしても、しょせんは次世代の党、日本を元気にする会、新党改革というマイナー政党。あえて、そこを針小棒大に訴えざるを得ないところに、世論との深い溝が透ける。だが、永田町や・・・