バチカンに「陰謀の季節」再び
「リベラル」法王に保守派の包囲網
2015年10月号
バチカン(法王庁)がまたも陰謀の季節を迎えた。リベラルな発言で人気のフランシスコ法王を無力化しようと、バチカン内外で保守派が反乱に動いている。法王は、選出早々から法王庁の改革に着手し、腐臭ふんぷんのバチカン銀行の大掃除や教会の権威回復を進めてきたが、カトリックの教理を揺るがす言動に対して、保守派の高位聖職者たちは「このままでは教会の破壊につながる」と焦りを強めている。
今年九月の法王訪米は、フランシスコの到着前から異様な雰囲気に包まれた。再び法王が仕掛けたからだ。
法王はカトリック教会の全聖職者に対して、「もし、中絶をした女性が救いを求めてきたら、これを赦してもよい」と諭した。今年十二月八日から来年十一月二十六日までの「いつくしみの特別聖年」に限ったこと、としたのだが、米国の教会幹部は驚愕した。
「家族制度が重大な危機に瀕している。しかも、その敵は教会の中にいる」と、カトリック系の中絶反対団体は激しく反発した。疑念を表明する聖職者も相次ぎ、「法王は騒動を作り出すのがお好きでいらっしゃる」とのツイートもあった。
米国のカトリック教会は、保守色の強いプロテス・・・