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経済

《経営者東京裁判》 岡田 元也(上)

「イオン商法」に迫る落日

2015年10月号

 地方の多様性を奪い取り、商店街を破壊し、高齢者などを買い物難民へと追い込む。何ともタチの悪い「ウイルス」(流通業界関係者)が全国で猛威を振るっている。イオン―だ。

 この九月にも九州域内の三十八店を筆頭に、北海道内十六店、名古屋地区五店のダイエー店舗計五十九店の運営が一斉にイオン九州やイオン北海道などに切り替わった。十一月末までには看板自体も順次、「イオン」や「マックスバリュ」に書き換えられる予定。さらに来年三月には関東・近畿地区二十九店のダイエー店もイオンリテールに移管され、二〇一八年度中には全ダイエー店二百八十一店の〝イオン化〟が完了する。

 感染源は無論、この男・岡田元也だ。持株会社イオンの代表執行役社長にしてグループCEO。三重・四日市を地盤とする老舗呉服商「岡田屋」を経営してきた岡田家の八代目当主で、民主党代表、岡田克也の実兄でもある。一九九七年、旧第一勧業銀行の総会屋事件に絡んで同行出身だった社長の田中賢二が逮捕されるという事態を受け、四十五歳という若さでトップに就任。二〇〇〇年に七代目で、イオンの前身であるジャスコを誕生させた・・・