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経済

トヨタ「下請け搾取」再開に非難囂々

部品値下げ「強制」で進む品質劣化

2015年10月号

 トヨタ自動車が再び過酷な「下請けいじめ」に動きだした。二〇一四年度下期(一四年十月〜一五年三月)から据え置いてきた部品メーカーへの値下げ要請を一年ぶりに再開する。一五年度下期(一五年十月〜一六年三月)は〇・五〜一・〇%前後の値下げを要請する方針という。形式上は「要請」だが、その実態は「有無をいわさぬ強制」にほかならない。一五年三月期に国内でも過去最高となる二兆一千七百三十三億円もの当期純利益を計上し、一六年三月期にはそれを上回る勢いというトヨタ。本来ならば部品メーカーに利益を還元すべき巨大企業が、貪欲にもさらなる値下げを押し付けるという異常な事態になっているのだ。 まるで「ブラック企業」 「初めて聞いた時は耳を疑った」と、愛知県の中堅部品メーカー幹部は驚きを隠さない。トヨタの一五年度第1四半期(一五年四〜六月)連結決算は、純利益が前年同期比一〇・〇%増の六千四百六十三億円と過去最高を更新している。「当然、値下げ要請の自粛は続くと信じていた」(前出中堅部品メーカー幹部)だけに、衝撃は大きかった。「なぜ、そ・・・