グーグルの天下は長くない
ネット業界の「盛者必衰」に抗えず
2015年10月号
「私はCEOとして『アルファベット』を経営することが、本当にうれしい」
グーグルのラリー・ペイジCEOは八月、同社の持ち株会社制への再編をこうブログで発表した。新会社アルファベットを持ち株会社として、その下に検索エンジン事業等を中心とした中核部門としてグーグルを置き、中核部門とシナジーの薄い事業や赤字の新規事業を切り離してグーグルと並列に置くコングロマリット型になる。
株式市場はこの再編を「透明性が向上した」として歓迎し、株価は急騰した。だが、新興ベンチャーが次々と現れては急成長する競争環境の中、同社は満足な結果を出せず、投資家の期待に応えきれない状況が続いている。直近四半期で売り上げに占める広告収入の割合は九〇・八七%。いまだに広告収入「一本足打法」の同社だが、いつまでたっても二本目の柱が育たず、成長は鈍化を続けている。
アルファベット新体制への移行は、グーグルの焦りを如実に物語っているのだ。
広告主がフェイスブックを選ぶ理由
グーグルの失速ぶりを、まず数字で確認しよう。この十年で同社の売り上げは六十一億ドルから約十倍の六百・・・