「シリア難民」知られざる実情
「偽物」と過激派が欧州に大量流入
2015年10月号
「ソーシャルメディアを巧みに使って、ドイツやスウェーデンなどの豊かな国を目指す彼らは、はたして『難民』にあたるのだろうか」
ハンガリーの難民流入の最前線で取材を続けるジャーナリストの一人は違和感を吐露する。現在、欧州に押し寄せている難民の印象は、戦火から命からがら逃げ出してきたような一般的なイメージと大きく乖離するという。
幼い男児の遺体が浜辺に打ち上げられている痛ましい映像をきっかけに、欧州各国がシリア難民の受け入れに動き始めた。しかし、本当に助けを必要とする難民は置き去りにされているばかりか、多くの偽装難民が欧州入りしている。その裏では、「難民ビジネス」が活況を呈しているのだ。
「男児遺体写真」を巡る疑惑
現在欧州を目指しているシリア難民の正確な数は不明だが、二十万人程度という数字が引き合いに出されることが多い。一方で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のデータによると、シリア近隣国での登録難民数は、トルコで約百八十万人、レバノンに約百十七万人、ヨルダンに約六十三万人など、合わせて四百万人以上の難民がキャンプに押し込められ、食料の配給・・・