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連載

本に遇う 連載189

「安倍語」は空っぽ
河谷史夫

2015年9月号

 新聞の投書欄には政治面よりも政治の本質を穿ったものが載る。

 毎日新聞に福岡の自営業、六十一歳の「安倍さんは声が大きく、早口で自信ありげに話すだけで、内容は全く空っぽで論理的ではありません」というのがあった。

 こういう判断を、永田町周辺にたむろして「私は何代もの首相を見てきた」てなことを自慢するしか能のない御用記者の記事に見ることは、決してない。

 アメリカに言われたら戦争へと赴くための安保法案は「積極的平和主義」に基づくものだそうだから、さながらオーウェル『一九八四年』のスローガン「戦争は平和なり」だが、これを「丁寧に」と称していくら説明しても「なかなか国民の理解を得られない」のはなぜか。「自信ありげに話すだけで、論理的でない」からである。

 苦し紛れにテレビや自民党のネット番組に現れて、例え話の披露に及んだのはご愛嬌であった。

「アソウ君とアベ君が一緒に歩いている。不良がアソウ君に殴りかかる。私もこれを守る。これが今度の法制である」だの、「アメリカの家が燃えて、アメリカ・・・