トルコは年内に「大混乱」へ
エルドアン「我が世の春」は終幕
2015年9月号
トルコのエルドアン大統領が就任以来最大の賭けに出た。六月の総選挙で与党「公正発展党」が敗北を喫した後、クルディスタン労働者党(PKK)と過激派「イスラム国」(IS)に対して、軍事作戦に打って出たのだ。その上で今年十一月一日に再度総選挙を実施するという、大仕掛けの生き残り戦術だが、すべてが凶と出る可能性も大きい。
「次はやり直し選挙だよ」と、エルドアンは十一月の総選挙についてそっけなく語った。前回選挙は何かの間違いだったと言わんばかり。与党内に追従ばかりが渦巻く中で、大統領は、クルド人をたたけば、クルド系の「人民民主党(HDP)」の人気が落ちて、公正発展党が過半数を取り戻すことができると、単純に信じている。
「まさに『王様は裸』ですね。エルドアン政権が今更、本気でIS掃討に乗り出すわけがない。対IS軍事作戦に加わることで、米国からの批判を封じたつもりでしょうが、過半数奪還は至難の業です」と、トルコ在住の英国人記者は言う。
ギュレン運動に巻き返しの好機
エルドアンの意図を知るために、トルコ軍と治安当局が何をしているのか整理しよう。
今回の軍・・・