イスラム国「誘拐ビジネス」の荒稼ぎ
憂慮される日本人「三人目」の不明者
2015年9月号
「安田純平さんは、かなり危険な状態にある」
在カイロのジャーナリストはこう語る。六月にトルコに入り、その後消息を絶ったフリージャーナリストの安田氏。これまで、日本では一切の情報が流れていないが、現地では緊迫した状況になっているようだ。イスラム国(IS)による日本人誘拐事件と言えば、交渉に失敗し、二人の犠牲者を出した今年一月の日本人人質殺害事件が記憶に新しい。ISによる安田氏拘束が事実とすれば、解放される可能性はどの程度あるのだろうか。
ISによる外国人の誘拐事件被害者は表面化したものだけで過去に約三十人に上る。ISの資金源は、石油の密売と湾岸諸国の篤志家からの送金に加え、誘拐ビジネスによる身代金が柱とされてきた。身代金収入は全体の二割程度を占めるという試算があったが、実は昨年まで「石油ビジネスが好調で身代金の重要性は徐々に低下していた」(在中東治安当局者)。このため、外国人の援助関係者やジャーナリストの誘拐は、「カネ目当てではなく、殺害してネット上で力を誇示することが主要な目的」(イスラム研究家)とされてきた。しかし最近、欧米を中心とする対IS締め付けが功を奏し始め、ト・・・