名門「ドイツ銀行」がまさかの経営危機
「第二のリーマンか」との臆測も
2015年9月号
欧州トップの名門銀行「ドイツ銀行」が、まさかの経営危機に瀕している。今年六月に共同最高経営責任者(CEO)の辞任を決め、八月には事業計画の全面見直しを発表した。ドイツ銀行は世界最大のデリバティブ(金融派生商品)を持っており、七十五兆ドルもの保有はドイツの国内総生産(GDP)の二十倍に達している。突然の危機勃発に、「第二のリーマンか」という臆測まで呼ぶ事態になっている。
投資部門が逆噴射
ドイツ銀行の危機がいかに政治問題化していたかは、六月のCEO交代劇に、メルケル政権の連立与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、社会民主党(SPD)がいっせいに「歓迎」「遅すぎた」と反応したことからも分かる。ドイツ銀行は欧州最大行であるのみか、メルケル政権と緊密な関係を持ち、「ドイツを動かしているのはドイツ銀行」と言われるほど、政治力が強い。
退任したアンシュ・ジェイン前CEOはインド生まれ。米国の投資銀行の修羅場でもまれて、一九九〇年代半ばにドイツ銀行に入った。当時のドイツ銀行は、国内の名門製造業者への融資で手堅く稼ぐだけだったが、ジェインは投資部門の先・・・