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社会・文化

東京五輪はやっぱり儲からない

「噓っぱち」ばかりの経済効果予想

2015年9月号

 新国立競技場問題に続けてエンブレム盗作騒動が勃発。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)にケチがつき始め、一三年の招致決定の時の熱も冷めてきた。東日本大震災からの復興、環境にやさしいコンパクトな大会など東京五輪に被せられた冠は多いが、こうした建前を抜きにすれば、多くの人が五輪開催による「経済効果」に期待した。そういった報道は溢れ、五輪をきっかけとして「バラ色の未来」が来るかのような錯覚に日本中がとらわれた。 「公共事業」として小さすぎる  ロンドン中心部、常に観光客や車でごった返すピカデリー・サーカス。この一角にあったレストラン「クライテリオン」が六月に破産申請をして閉店した。小説「シャーロック・ホームズ」にも登場した百四十年の歴史を持つレストランが財政的に行き詰まった原因は、店の賃料の値上げだった。それまで約五十一万ポンド(約九千八百万円)だった年間賃料が一挙に八十五万ポンドと六〇%も値上げされたことで立ち行かなくなった。ロンドンでは今、こうした光景がそこかしこで広がっている。一二年に開催された五輪を契機として、ロンドンでは地価の上昇・・・