「Amazon」が握ったIT覇権
日本社会も呑み込む「怪物企業」
2015年9月号
「アマゾンの小売り事業への考え方と同様に、事実上、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の市場規模は無限だと考えている」
アマゾンドットコムのジェフ・ベゾスCEOは今年の「株主への報告書」の中でこう語っている。業界内での同社の立場に「強い継続的な優位性をもたらす」との自信ものぞかせる。ネット小売り最大手として日々拡大を続けるアマゾンの前に、小売り世界最大手ウォルマートや家電世界最大手ベストバイも、書店最大手バーンズ&ノーブルもあえぐ姿を日本の小売業界は対岸の火事としてみることはもはや難しい。
そして今、怪物の魔の手は、グーグルやマイクロソフトにも及びはじめている。次世代コンピューティングの覇権争いは、すでにアマゾンが制しつつある。この趨勢を変えることはもう難しいだろう。振り出しはネット書店だった同社に、IBMもひざまずこうとしている。古い秩序をゆっくりと呑み込みながら拡大してきた怪物アマゾン。二十年目にして、この怪物には翼が生えたのだ。我々はそれを前提にアマゾンとは何かを再定義しなければいけない。
ベンチャーも大企業も依存
「約十年前に生・・・