世界経済「長期低迷」が確定的に
新興国「成長神話」が一挙に瓦解
2015年9月号
八月末に起こった世界同時株安は、長期的な世界経済低迷につながる可能性が濃厚だ。中国を含む新興国市場は、過去一年あまりで一兆ドル(約百二十兆円)もの資金流出に見舞われている。新興国は今後数年間にわたり成長鈍化すると予測され、今や世界経済の最大の不安要因に浮上した。日本のメディアが唱えるように、「中国経済減速」と「米国の早期利上げ観測」が株安の「主犯」と信じ込んでしまうと、世界経済の潮流を見失ってしまう。
資本がどんどん逃避
八月最終週の新聞には「中国不安」「中国のブラック・マンデー」「米国の九月利上げ後退か」などの見出しが並んだ。七月から続く上海、香港両株式市場の暴落と、中国の習近平国家主席が「新常態(ニュー・ノーマル)」と名付ける成長鈍化を考慮すれば、中国経済への先行き不安感が投資家心理を冷え込ませたのは確かだ。
一方で、中国の成長鈍化が、新興国全般の景気悪化の序曲でしかないのも、見逃してはならない。中国だけでなく、ブラジルを筆頭にした南米諸国、トルコ、南アフリカなど新興諸国で、資金流出や貿易の減少、株式指数や通貨の下落が起きている。
オラ・・・