Book Reviewing Globe 375
危機からの「復元力」を磨く術
2015年8月号
The Resilience Dividend:
Being Strong in a World
Where Things Go Wrong
Judith Rodin
PublicAffairs
二十一世紀、世界の開発途上国と新興国で急速に進む巨大都市化と毎年ひどくなる気候変動とグローバル・サプライ・チェーンの切断をいつ何時もたらすかもしれないグローバル化が、世界をますます脆弱にするだろう。
その過程で、企業や地域や国家のdisruption(破裂)をいかに少なくするか、そして、それが起こった場合、いかにそこから復元するか、さらに、その経験と教訓を生かして、いかにそれぞれの組織の新たな変革へと踏み出すかが問われている。
この最後の過程を著者はレジリエンス・ディビデンド(復元配当)と呼ぶ。日本では、復旧ではなく復興の概念がこれに近い。単に元へ戻すのではなく、新たな生活基盤と文化の創造へとつなげるダイナミックな概念である。
レジリエンス(復元力)を身につけるには、次の五つの機能が必要になる。
(1)知覚
状況認識能力をいかに高めるか・・・