自衛隊に広がる「反安倍感情」
安保法制が招く「隊員不足」の危機
2015年8月号
安倍晋三首相が歴史に名を刻みたいという悲願からひねり出された安全保障関連法案の成立が見えてきたことで、戦地派遣が現実味を帯びる自衛官の間に「反安倍感情」が静かに広がってきた。第一線の自衛官からは「危険性は確実に高まる」「戦争しないと思って入隊したのに、話が違う」と声なき声が漏れてくる。それは、やがて自衛隊からの大量除隊と入隊希望者の激減を招き、国防は危機に直面する。安倍政権の政治的自己満足の代償はあまりにも重い。
深刻なのは妻子持ちの自衛官
自衛隊の主たる任務は日本の防衛で、国民向けには災害援助での活躍が印象的だ。この二十三万人にも及ぶ巨大組織は日本を代表する「職業訓練校」としての顔も併せ持つ。高卒や中卒で自衛隊に入る若者は給料をもらいながら、若いうちから退職再就職支援の技能訓練でさまざまな資格を取得できる。二十代で辞めても次の働き口まで斡旋してくれる手厚い制度があるからだ。大型特殊自動車やフォークリフトの免許、危険物の取扱者、調理師、マンション管理士、防災管理者……。最近はホームヘルパーの訓練も用意されている。
だから彼らにとって、集団的自衛権の・・・