「首相夫人」が牛耳るマレーシア
汚職と醜聞まみれの「第二のイメルダ」
2015年8月号
権力の側に女あり―。古今東西、権力者に寄り添い、または自ら権力を掌握する女性は多い。スキャンダルに揺れるマレーシアのナジブ首相の側にはロスマ夫人が常にいる。「陰の最高権力者」とまでいわれる首相夫人が、マレーシア全体を窮地に陥れかねない事態が進行している。
今年五月、ナジブ首相夫妻が来日した際、菅義偉官房長官は来日について「ASEAN(東南アジア諸国連合)重視の立場から、両国の絆と協力関係を一層深める機会となる」と語り、今年議長国を務めているマレーシアに期待を寄せた。数ある協議内容の中でも日本側がもっとも関心を持っていたのは、マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画だ。日本企業による落札を目論む官邸は、熱心に売り込みを行った。ナジブ首相は、当たり障りのない回答に終始したが、日本側は押しの一手を打った。
この時の首相夫妻は、「公式実務訪問賓客」という待遇で迎えられ国賓ではなかったが、天皇陛下への謁見の場が用意された。日本政府が天皇陛下謁見という特別待遇でラブコールを送ったのは首相本人ではなく実はロスマ夫人だ。
二十五億円の指輪を購入・・・