楽天が「破壊」する出版業界
書籍流通「支配」に乗り出す三木谷
2015年8月号
「楽天が書籍流通の二割を押さえた。『たった二割』と思うかもしれないが、出版社、書店、書籍業界の将来に与える影響は深刻だ」
東京の小規模出版社の社長は嘆息した。楽天が「打倒アマゾン」を目指して書籍流通への進出を模索し始めて約三年。取次四位の栗田出版販売の破綻により、その目的の「一里塚を通過」(大手出版社幹部)した。既存の出版社、書店への影響は今のところ軽微にみえるが、それは「三木谷楽天のめくらまし」(同)に騙されているに過ぎない。
出版社と対等に交渉できる
栗田が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したのは六月二十六日のこと。同社は、二〇〇九年以降、六期連続で経常赤字を計上。債務超過に陥っており、破綻は時間の問題だった。七月六日の債権者集会には出版社、書店など一千人以上が押しかけた。
「質疑応答の時間を長くとったことだけは評価する」
出席者の一人がこう語るように、一時間足らずで終わることも多い民事再生の債権者集会としては異例の三時間超の長丁場になった。再生スキームについて栗田側は、取次三位の大阪屋をスポンサーとする計画を発表。大阪屋と栗・・・