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経済

《経営者東京裁判》 佐々木 則夫(東芝前副会長)

東芝「名門転落」の主犯格

2015年8月号

「業績を回復させ、成長軌道に乗せる役割は果たした。ちゃんと数字を出しており、文句を言われる筋合いはない」。二〇一三年二月の東芝の社長交代会見。かねて確執が取り沙汰されていた会長(当時)の西田厚聰から「一つの事業しかやってこなかった人が東芝全体をみられるのか」と突っ込まれ、半ば無能呼ばわりされたことにこう反論した社長(同)の佐々木則夫だったが、何のことはない。佐々木が大見得を切ってみせたその数字自体が実はまったくのデタラメだったというのだから、とんだ茶番だ。

 不適切会計問題を調べてきた東芝の第三者委員会が七月二十日に提出した調査報告書は、〇九年三月期から六年弱の間に計一千五百十八億円にのぼる利益(税引き前ベース)水増しが繰り返されてきたことをあぶり出したうえで、こうした会計操作に「経営トップらを含めた組織的関与があり、かつ意図的に行われた」と断定。西田、佐々木、そしてその後を受けた田中久雄の歴代三社長にわたる「悪行」(東芝OB幹部)を厳しく指弾した。

 なかでもやり玉に挙がったのが佐々木だ。問題の調査対象となった期間は佐々木が社長を務めていた・・・