Jパワー「社内抗争劇」の醜悪
「一兆円」大間原発を巡る粛清の内幕
2015年8月号
〈なぜだ。なぜあいつが社長なんだ。これまで発電所の立地に奔走し、現場の社員に心を砕きながら、会社を支えてきたのは俺たち総務系幹部ではないか。あいつら、小賢しい〝役所の御用聞き〟に何が分かるんだ!〉
この六年、その男の胸奥には冷えた遺恨が暗く燃えていた。入社以来、一貫して保守本流の総務畑を歩み、早くから「将来の社長」と盛名を得ながら、二〇〇九年、土壇場で一歳年下の北村雅良に出し抜かれた。あのときの無念は忘れられない。いや、居住まいには決して屈託を表さなかったものの、遺恨は埋み火のように燻り続け、それが今回、〝仇敵〟の一掃で見事晴らされたのだ。
その男とは、Jパワー(電源開発)前会長の沢部清―。現在の特別顧問である。
特別顧問が人事を操る経営不在
「大間原発の懸案を解決させるということか。社長留任の説明責任を果たしてほしい」
六月二十五日、東京プリンスホテル(東京・芝公園)で開かれたJパワーの株主総会―。例年二時間足らずで終了する総会が、今年は二時間三十二分と長引いた原因は、反原発株主から執拗に問い質された取締役人事だった。
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