「与党ボケ」重症の自民党
「政治に無関心」な政治家の集団に
2015年8月号
安全保障関連法案の審議が始まったのは五月二十六日。その頃、首相安倍晋三は自信満々だった。
「安保法案が成立したからといって内閣支持率が落ちることはありませんよ。影響があるとすれば、原発再稼働の方でしょう」
昨年末の“奇襲”とも言える解散総選挙で大勝、政権基盤を盤石なものにしたことが安倍の自信の最大の根拠だった。さらに四月下旬の訪米での大統領オバマとの日米首脳会談の成功で、安倍は自らの影響力の増大を益々確信したようだ。やることなすこと全てが安倍の思い通りに展開した。自ら描いた政治日程に沿うように結果が出る。政権の求心力を測るバロメーターの一つに「政治日程の支配」があるが、紛れもなく国会および政治の流れ全体を「安倍カレンダー」が支配していた。
だが、権力をめぐるパワーバランスはあっという間に逆転する。しかもその逆転劇は、政治の本筋とはやや離れたところで生じた小さな火の粉が原因で想像を超える大火になるケースが多い。
「早く質問しろよ」
五月二十八日の衆院平和安全法制特別委員会。安倍自身が民主党の辻元清美に飛ばしたやじがすべての始まりだった。安倍は委員会で・・・