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中国「海洋膨張」の強欲

「力による現状変更」が横行する時代に

2015年8月号特別リポート

 猛獣が途轍もないことを日本周辺に仕掛けているから、政府は対応を考えるべきだといまから四十年以上前から警告していたのは軍事問題専門家の平松茂雄氏だった。若いころから中国の軍事問題一筋に打ち込んできた同氏は自民党の故中川昭一氏らに直接働き掛けたが、当時の防衛庁をはじめ、政府・与党の大方は動こうとしなかった。いわゆる東シナ海の日中中間線の日本側水域に中国に対抗して掘削を試みたいと申し出た民間企業に「掘ってはならぬ」と言い渡した大臣はいまでも与党内で大きな役割を演じている。

 一昨年六月から今年の六月までに日中間の合意に反して十二カ所のプラットホームが新たに発見され、既設の四基を加えると計十六基で、軍事基地化されようというのに、集団的自衛権の制限的使用を実現したい政府・与党に「戦争法案」「徴兵制の復活」と罵声を浴びせる野党議員は自分の姿を鏡に映してみたか。国防を政争の具に供してはばかることのない醜悪な自分の姿を見て何とも思わないのか。

 政府・与党も不思議である。設置されたプラットホームが軍事基地化され、ここが核基地に使用されたらどうするのか。戦後・・・