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WORLD

《世界のキーパーソン》 セラハッティン・デミルタシュ(トルコ国民民主主義党共同党首)

クルド問題を大きく揺らす「新星」

2015年7月号

 六月七日に行われたトルコ総選挙。エルドアン大統領の与党・公正発展党(AKP)が五百五十議席の過半数に達しないこと(得票率四一%)が分かると、地元紙は一斉に「失墜」の大見出しを掲げた。過去十年以上、オスマントルコ時代のスルタンにも比べられた絶対的権力者が、最大の基盤だった国民の支持を失ったのだ。

 立役者は、少数民族クルド人中心の左派政党、国民民主主義党(HDP)のデミルタシュ党首。この四十二歳の弁護士は、エルドアンとは全く異なる政治家像を有権者に植え付け、国会の議席獲得に必要な一〇%を超える一三%の得票で、一気に八十議席を獲得した。

「家族の写真が鮮烈な印象を残しました。美男美女の若々しいカップルと、かわいらしい二人の娘たち。エルドアン一家も美形ぞろいですが、こちらは腐敗や権力乱用のウワサが絶えないので、デミルタシュ一家がとても新鮮に見えた」と、トルコ取材の長い英国人記者が言う。高圧的な専制政治家と、謙虚な野党指導者の好対照が、選挙戦に入る前の与党圧勝ムードを吹き飛ばした。

 クルド人地区の中心都市、ディヤルバクルのザ・・・