Book Reviewing Globe 374
修正迫られる米国の対中戦略
2015年7月号
Revising U.S.
Grand Strategy
Toward China
Robert D.Blackwill & Ashley J.Tellis
Council on Foreign Relations
2015
ニクソン−キッシンジャー以降の米国の対中戦略は、果たして正しかったのだろうか。
米国の対中関与政策は、中国の台頭をもたらし、中国を自由な国際協調主義に統合しようとする米国の試みは、中国を米国の最大の競争相手に仕上げ、ひいては米国の優位を脅かす存在にしているのではないか。
米国の戦略家であるブラックウィルとテリスの共著であるこの論文は、米国内で広まりつつあるこのような疑問に正面から答えようとしている。
著者によれば、中国の対米戦略は、以下の点を本質としている。
・米国とアジアの同盟システムの活力を殺ぐ。
・アジアの安全保障はアジアの手でつくる。
・アジアにおける勢力均衡を根本的に変える。
・米国をアジアの指導者の座から引きずり下ろす。
・そのようにして、米国の死活的利益を弱める。・・・