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政治

《土着権力の研究》 佐賀県 唐津湾海区砂採取協同組合

暴力団とも繫がる「利権集団」

2015年6月号

 佐賀県北部、玄界灘を望む唐津市は、「呼子のイカ」で知られている。唐津市呼子町で供されるイカは他の漁港と種類には変わりがない。有名になったのは、ここがイカの活き造り発祥の地だからだ。佐賀県の数少ない観光資源のひとつであるこのイカが今、窮地に立っている。原因は、建設向けの海砂採取による漁場の荒廃だと地元水産業者は確信している。

 海砂利権を牛耳っているのは、「唐津湾海区砂採取協同組合」だ。この組合を核として、地元漁業協同組合や暴力団までが砂が生み出すカネに群がっている。

 福岡から長崎まで、九州北部が面する玄界灘は豊かな漁場であると同時に、全国有数の海砂産地だ。特に唐津周辺でとれる砂は品質が高く、関西や西日本の建設業界では「唐津砂」と呼ばれるブランド品となっている。二〇〇六年までに瀬戸内海での砂採取が禁止されたことで、建設業界での唐津砂の重要性は増した。

 瀬戸内海で採取が禁止されたのは環境への配慮からだ。海砂の採取規制は全国的にも主流となっているが、いまだに野放しの玄界灘は、砂を必要とする人間たちの草刈り場と化している。・・・