「飲食店格付け」に騙されるな
疑惑百出の「世界のベストレストラン50」
2015年7月号
レストランのオスカーと呼ばれる「世界のベストレストラン50」。ネスレ傘下のサンペレグリノとアクアパンナが冠スポンサーを務める格付けの二〇一五年版が、六月にロンドンで発表されたが、欧米では、不透明な審査への批判が次々と飛び出している。
世界のベスト50は、〇二年にスタート。当初は英国の業界誌「レストラン・マガジン」が主導する業界的なイベントだったが、世界的なブランド企業がスポンサーに加わり、注目度を高めてきた。欧米のテレビや一流紙でも報じられ、ミシュランガイドに対抗できる影響力をつけている。四度の世界一に輝いたコペンハーゲンの「ノーマ」が今年一月、マンダリンオリエンタル 東京に期間限定で出店した際は、アジアはもちろん世界中から予約が殺到した。
ベスト50の候補は、九百七十二人の食の専門家によって選ばれる。評論家やジャーナリスト、シェフやオーナーらレストラン関係者、美食家の三つの分野から審査員を選んでいる。世界を二十七の地域に分けて、各地域には議長を含む三十六人の審査員がいる。一人が七票の投票権を有しており、そのうち三票は地域外のレストランに投じる。投票するのは過去十八カ・・・