成立しても使えない「安保法制」
禍根残した安倍「場当たり答弁」
2015年7月号
公明党に驚きと安堵が広がっている。安全保障関連法案をめぐる総理大臣・安倍晋三の国会答弁に表れた無理解と準備不足に対してである。
例えば、政府の新見解で、限定的とはいえ集団的自衛権の行使を認めたことで、自衛隊は他国軍への後方支援や国連平和維持活動のための「海外派遣」に加え、武力行使の目的で他国の領土、領海、領空に送る「海外派兵」が可能になるはずだった。しかし、安保法案の閣議決定後の五月十四日の記者会見で、安倍は「一般的に海外派兵は認められないという立場は維持している」と述べた。
民主党代表の岡田克也は五月二十日の党首討論で「集団的自衛権を使っても、自衛隊は公海でしか活動できないことになる」と発言の訂正を求めたが、安倍は「海外の領土、領空、領海に戦闘行動を目的とした派兵はしない」と繰り返し、「唯一の例外」として、沿岸国の領海が重なって公海がなく、迂回路もないホルムズ海峡での機雷掃海を挙げた。海外派兵ができない根拠は、集団的自衛権行使の「新三要件」のうち、「必要最小限にとどまる」とした第三要件だとも明言した。
公明党幹部は「言い間違いではないか」と耳を疑った。同党副・・・