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政治

財政健全化「潰した」戦犯は誰だ

「借金大国」ニッポンは破滅の道へ

2015年7月号

 六月二十二日に首相官邸で行われた政府の経済財政諮問会議で、甘利明経済再生担当大臣は自身が手掛けた「経済財政運営と改革の基本方針2015」、いわゆる「骨太の方針」素案を高らかに発表した。胸を張る甘利氏の姿とは対照的に、目玉だった財政健全化計画はバラ色の前提で固めた飴細工と化し、金融市場関係者からは「諮問会議史上最悪」との声すら漏れる。世間の関心が安全保障関連法案に集まる陰で、経済財政政策の指針をめぐる議論は最後まで社会的な広がりをみせず、霞が関は内閣府の暴走と財務省の弱体化が目につくチープな抗争劇を繰り広げた。 官邸への忠誠心と思惑 「二〇二〇年度の財政健全化目標をしっかり堅持する。来夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定する」。安倍晋三総理は昨年十一月十八日、消費税率一〇%への引き上げ延期と衆院解散を発表した際に、今後五年間の実効性のある財政健全化計画を打ち出す意向を表明した。  焦点となったのは、政府がかねてから「二〇二〇年度までに基礎的財政収支(PB)を黒字化する」と定める財政健全化目標に向けて、五年間の道程をどこまで具体的に明示できるか、だっ・・・