「頭脳流出」で沈む南欧諸国
「人材枯渇」が経済再建を阻む
2015年7月号
毎月ジェットコースターのように激しく動くギリシャの債務危機。欧州連合(EU)はギリシャ経済の危機の深さをようやく認識し、「人道的支援」の導入を余儀なくされる情勢だ。一方で、ギリシャはもとより、スペイン、イタリアなど他の重債務国からは頭脳流出が止まらず、単一通貨「ユーロ」の危機は遠い将来まで各国に深い傷を残しそうだ。
六月上旬。欧州サッカーの最高峰「チャンピオンズリーグ」の決勝戦、「ユベントス対バルセロナ」を控えて、競技場を提供するベルリンでは、この市の労働力を構成する欧州各国の若者たちが、好みのバーやカフェに集まり、様々な思いをぶちまけていた。ベルリンだけで、ユベントスの母国のイタリア人は二万人以上、バルセロナの母国のスペイン人は一万人以上が住んでいる。オリンピック・スタジアムの相当数をこうした、「ドイツ在住者」が埋めたのは当然のことだ。
市中心部「ミッテ」にある地中海料理店では、ギリシャ出身者たちが、全く違う思いで、テーブルを囲んでいた。何を話していても、必ず行き着くのは母国の債務危機のこと。そして、急進左派連合(シリザ)やチプラス首相のことだ。
「チプラスや・・・