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権力「下り坂」の習近平

「周永康裁判」と対米関係で苦境鮮明

2015年7月号

 中国の習近平国家主席は六月十五日、北京で六十二歳の誕生日を祝うと翌日、内陸の貴州省・遵義に飛んだ。遵義はヒマラヤ山脈に続く雲貴高原の山の中。マオタイ酒の産地だ。なぜ遵義なのか。唐突な感じがするが、習近平は、ライバル周永康(元共産党中央政治局常務委員)の裁判を終えると決めた時に、遵義入りを思いついたのだろう。ここで「トラ狩りハエ叩き」の権力闘争の戦略的転進、有り体に言えば手じまいを宣言するのだ。  遵義は、長征の途上、毛沢東が党権を掌握した遵義会議が開かれた地だ。習近平はその史跡を視察し、「毛沢東の用兵は神のごとし。これぞゲリラ戦の手本」と語った。それを新華社通信が全国に流した。  一九三五年、国民党軍に追われた共産党軍は遵義会議後、四川を通って北の革命根拠地へ逃れようと赤水河を四回渡河したが、国民党軍に行く手を阻まれた。そこで毛沢東は、雲南を西に大きく迂回する作戦をとり、ついに延安にたどりついた。「四渡赤水」と呼ばれ「戦略転換」の代名詞になっている。  習近平の意図は明らかだ。王岐山・党中央紀律検査委員会書記と組んで行った「トラ狩り」が党長老と軍首脳の巻き返しで幕引・・・