米軍戦力に兆す「陰り」
中露の猛追に「打つ手なし」のオバマ
2015年7月号
米国が中国やロシアの軍事的脅威を封じ込めるため、軍事技術と戦略の抜本的改定に着手した。軍事技術上の圧倒的な優位を再確立することによって、中露両国やイランなどの仮想敵に「手ひどいしっぺ返しをする」というのが狙いで、「サード・オフセット・ストラテジー(第三次相殺戦略)」という名称までつけられた。ところが、軍事専門家の間では早くも、「それを実現するだけの技術はどこにあるのか?」「予算をいったいどこから捻出するのか?」といった疑念が百出している。オバマ大統領は安全保障問題では、迷いと揺ればかりという悪評が定着しているだけに、軍事費配分の革命的な転換が必要とされる決定を下せるのか、疑問視する声が強い。
「米本土でさえ安全な場所ではない」
今年の夏も、米政府の目は中国に釘付けになった。
中国が五月末に発表した国防白書では、米軍を念頭に「中国は海上での軍事衝突に備える」と、はっきりうたった。六月には、国際的批判を集めた南シナ海での「埋め立て」が「近く完了する」と発表。同月に日本の海上自衛隊とフィリピン海軍が南シナ海で共同訓練を行うと、「緊張を作り出すな」・・・