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TPP「エゴ丸出し」米議会の策謀

安倍「米国追従路線」が陥る罠

2015年7月号

 環太平洋経済連携協定(TPP)など貿易自由化交渉に必要な法律をめぐって米国の連邦議会で激しい議論が繰り広げられ、六月二十四日にようやく上下両院で可決された。米議会の党利党略、魑魅魍魎ぶりは、日本の国会の比ではない。法案が否決されたかと思うとすぐに再投票し、可決されたかと思えば別の無関係な法案と一本化される。  六月十二日の記者会見で甘利明TPP担当相は、TPPと貿易調整援助(TAA)法案を混同し、「似たのがいっぱい出てくるのでわけがわかんなくなっちゃう」と吐露したくらいだ。普通の人には何がどうなっているのかさっぱり分からないだろう。  大局観を失わないためには、二つのことを明確に認識しておく必要がある。ボクシングに例えるとオバマ大統領は、左右両方からパンチを浴びてコーナーに追い詰められていること。そして、オバマ大統領がダウンしようが、苦境を切り抜けようが、国際通商交渉の場で米国が自国の利益をむき出しにする傾向がますます強まることだ。 「TPA」を正しく伝えぬメディア  米国の貿易交渉権限は連邦議会にある(合衆国憲法一条八節三項)。この権限・・・