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経済

「南米発」金融危機はすぐ目の前に

世界経済を揺らす「ベネズエラ破綻」

2015年7月号

 ギリシャの次はどこか。その答えは南米のベネズエラ。「小さな国」と受け止める向きも多いかもしれないが、そうではない。国内総生産(GDP)はアルゼンチンの七割、ギリシャの九割に上る。そのベネズエラが崩壊危機に瀕している事実は知られていない。市場が判断する「ベネズエラが五年以内に破綻する確率」は九七%に高まり、一年以内でも七五%。格付け大手ムーディーズは二〇一六年に財政が枯渇すると予測する。チャベス政権時代の「二十一世紀の社会主義」はデフォルトを待たず、世界最悪の破滅的な局面を迎えているのだが、その影響は全くシミュレーションされていない。 中国は巨額隠れ不良債権を抱える  ベネズエラのインフレの公式統計は昨年十二月の年率六八・五%を最後に、もはや発表すらされていない。参考になるのは通貨ボリバルと米ドルの為替レートの推移だが、三種類もある公式為替レートは意味をなさない。むしろ闇市場レートのほうが正確であり、内外に影響力を持っている。  その闇市場の対ドルの動きを見てみよう。昨年九月二十六日に一ドル=百ボリバルを突破、今年二月二十五日に二百ボリバル、五月十三日に・・・