迷走深まる日本郵政「株式上場」
叩き売りか「延期」かの瀬戸際
2015年7月号
日本郵政グループを巡って、不穏な空気が漂い始めた。今年秋に予定されている日本郵政グループ三社の株式上場問題に延期を画策する動きが台頭してきたからだ。その震源はほかならぬ、日本郵政グループの内部にある。昨年十二月に、グループの総帥である西室泰三・日本郵政社長自身が公式の場で宣言した決断が約半年後に揺らぎをみせた背景は何なのか。
日本郵政グループ幹部たちが上場計画の説明のために欧米の機関投資家を訪問したのは四月の上旬、下旬の二回だった。俗にいう、株式上場に向けた「プレ・ロードショー」である。日本郵政グループの幹部級の面々が機関投資家各社を訪れて、上場の説明と意見交換をしてきた。
なかでも、四月下旬に行われた二回目の訪問は、日本郵政グループが上場後に向けた中期経営計画公表をふまえたものであり、上旬の一回目よりも、具体的な説明が行われたという。その際に、訪問先の欧米機関投資家から相当に突っ込んだ意見、要望が日本郵政側に突き付けられた。それらの声は、日本郵政幹部たちには想定外のものだったという。
配当政策で勘違いの上層部
「欧米の機関投資家からは、上場・・・