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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》 帝国データバンク

信用ならざる「信用調査会社」の実態

2015年7月号

 明治三十三年、東京市京橋区で産声を上げた「帝国興信所」。信用情報調査事業を民間で始めた我が国でのパイオニアだ。興信所という名前が示す通り、当時は企業経営者の下半身まで徹底的に調べ上げ、その情報の質の高さから徐々に顧客を広げていった。

 これが調査業界トップに君臨する現在の「帝国データバンク」に繫がる。一般には企業倒産ニュースでしか馴染みがないだろうが、企業の商取引の現場ではなくてはならない存在だ。その帝国が今、変質し、企業経済の足を引っ張っている。知られざる帝国の実情を調査し、危険な劣化の実態を詳らかにしよう。


調査能力の劣化を象徴する「事件」


 企業経営者や、総務や経理といった部門の人間なら、帝国や東京商工リサーチの調査員の訪問を受けたことがあるだろう。取引相手のことを知るためにこのような調査で得られた情報は極めて有用だ。調査結果が芳しくなければ、新規取引が断られたり、既に付き合いのある企業から取引を打ち切られることさえある。決算や資産情報が公開されている上場企業は、日本の企業全・・・