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パキスタン「中国経済回廊」に暗雲

「新シルクロード構想」早々に疑問符

2015年6月号

 中国の新疆ウイグル自治区とパキスタン南西部のグワダルを結ぶ物流網「中国・パキスタン経済回廊計画」(CPEC)に暗雲が漂い始めた。中国と蜜月のパキスタンでは、そのルートをめぐって政権与党と野党が鋭く対立する。中国は自ら主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)のプロジェクトに組み込んで他国からの資金でてこ入れを図ろうと画策するものの、莫大な経費の不足が埋まる保証はない。CPECは習近平国家主席が提唱する「新シルクロード(一帯一路)構想」の要路。この巨大プロジェクトの行方は中国の勢力拡大の成否を占うバロメーターになりそうだ。 野党の反発が本格化  中国国内から、パキスタン南西部のグワダルを結ぶ三千キロにも及ぶ道路建設には、中国側の強い思惑がある。漁村しかないグワダルに中国資本で港が建設されたことは周知の通り。中国の台頭を警戒する米国やインドは、中国海軍がグワダル港をいずれ軍港として活用するのではないかと懸念している。  グワダル港は二〇〇七年の竣工以降、開店休業の状態が続き、船がほとんど寄り付かないありさまだった。政府系の物資を運搬する船がたまに出入りする・・・