ユーロ危機のヨーロッパにまた、新しい政治のスターが誕生した。建設バブルがはじけたスペインで、住宅ローン会社や銀行、政府の悪辣さを暴いてきた、四十一歳の一児の母親が、五月二十四日のスペイン地方選挙のバルセロナ市議会選で、新組織をいきなり第一党に導き、次期市長就任を確実にした。

　彼女が属する「ポデモス」（スペイン語で「私たちにはできる」）は、昨年一月創設。スペインの二大政党、国民党と社会労働党を脅かす支持率を得てきたが、政治権力を握るのは初めてとなる。バルセロナでは前の日曜日に、「ＦＣバルセロナ」がスペイン・リーグ優勝を決めたばかり。街頭は二週連続のお祝いムードに沸いた。

　コラウは根っからの「反体制」で、バルセロナ大学で哲学を学んでいた頃から、反戦運動や反グローバル活動など、「反」がつくものは何でもやった。まともな就職はできず、住居も定まらぬ暮らしを続けていた時に、スペインのバブルが崩壊した。住宅ローンを滞納し、住まいを追われた人々のため、彼女は二〇〇九年、ローン被害者救済運動「ＰＡＨ」を結成した。ＰＡＨの活動家たちは、立ち退き命令を出され・・・