Book Reviewing Globe 373
終わらない悪夢を抱えた米国
2015年6月号
National Insecurity
American Leadership in an Age of Fear
David Rothkopf
Publicaffairs
2014 $29.99
ブッシュ時代のイラク戦争とリーマン・ショック、オバマ時代のポスト「アラブの春」地獄と中国の米国覇権への挑戦を経る中で、米国の政治と外交が恐怖感に突き動かされるようになった。
対テロ戦争の最大の敵は、何千キロも離れた所に生存しているアルカーイダのような過激派ではなく、米国内の人々の恐怖感そのものだった。この恐怖感が、アフガニスタンにとどまらずイラクに対する戦争まで起こし、何兆ドルという戦費を費やし、そのあげく、米国の世界における指導力を大いに損なわせるに至った。米国は究極のところ、テロに反応していただけだった。問い質すべき質問を知らずに行動していたのである。
その中で、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が戦略作成と政策調整を十分に機能させることができない事態が露呈した。
イラク戦争は、NSCのガバナンス欠如が致命的だった。
ライス補佐官、・・・