皇室の風82
ディアスポラ
岩井 克己
2015年6月号
「復興というものは本当に難しいものです」
平成になって大きな災害が打ち続くなか、皇后がこう嘆息していると耳にしたことがある。
災害が起きた直後は被災者も支援者も、みんな気持ちはひとつだが、復興の段階に移ると、立場の違いや利害得失が絡んで、時には分裂したり対立したりしてくる。皇室がどう関われるか難しい―そんな趣旨だったようだ。
天皇・皇族の災害見舞いなどは、ほとんどが「一期一会」である。随行の宮内記者たちも場面場面を精一杯取材し報道するが、その場限りにならざるをえない。限界状況に陥った人々をフォローアップできない疚しさと忸怩たる思いが、いつも胸の底に残るのである。多くの被災と復興の実相に接し続けてきた天皇・皇后の胸底には、比べものにならない重いものが積み重なっているのだろう。冒頭の皇后のひと言に、そんな深い洞察の響きが感じられる。
大災害の被災地見舞いと復興視察には何度となく同行取材したが、やはり強い印象を受けたのが、福島第一原子力発電所事故で放射能汚染に追われ役場ごと逃れてきた立地元・双葉町・・・
平成になって大きな災害が打ち続くなか、皇后がこう嘆息していると耳にしたことがある。
災害が起きた直後は被災者も支援者も、みんな気持ちはひとつだが、復興の段階に移ると、立場の違いや利害得失が絡んで、時には分裂したり対立したりしてくる。皇室がどう関われるか難しい―そんな趣旨だったようだ。
天皇・皇族の災害見舞いなどは、ほとんどが「一期一会」である。随行の宮内記者たちも場面場面を精一杯取材し報道するが、その場限りにならざるをえない。限界状況に陥った人々をフォローアップできない疚しさと忸怩たる思いが、いつも胸の底に残るのである。多くの被災と復興の実相に接し続けてきた天皇・皇后の胸底には、比べものにならない重いものが積み重なっているのだろう。冒頭の皇后のひと言に、そんな深い洞察の響きが感じられる。
大災害の被災地見舞いと復興視察には何度となく同行取材したが、やはり強い印象を受けたのが、福島第一原子力発電所事故で放射能汚染に追われ役場ごと逃れてきた立地元・双葉町・・・