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社会・文化

国会議員「訴訟乱発」の異常

メディア恫喝裁判で「言論封殺」狙う

2015年6月号

「会員制月刊誌『選択』の記事で名誉を傷つけられたとして、安倍晋三官房長官が発行元の『選択出版』(東京都港区)に五千万円の賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は二十一日、五十万円の支払いを命じた」  これは、二〇〇六年四月二十二日付、毎日新聞朝刊第二社会面に掲載された記事だ。この裁判は、翌年に和解となっているため記事の内容や裁判所の判断についての論評は控える。明らかなことは現在二度目の首相の座に就いている安倍晋三氏は、過去に本誌を提訴したという事実だ。  政治家がメディアを名誉毀損で提訴するケースが近年いよいよ目立ってきた。中には刑事告発を行う政治家もあり、言論封殺を目論む圧力は激しさを増している。 現職閣僚が次々と提訴  週刊誌の契約ライターが語る。 「政治家絡みの情報を摑んできても、裁判になりそうなものはそもそも取材のゴーサインが出ない。結局、政治ネタは当たり障りのない新聞の政局物のおこぼれがメーンになる」  名誉毀損訴訟全般の損害賠償金額が高騰している昨今、雑誌メディアの現場はすでに十分萎縮している。数少ない雑誌が政治家の・・・