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サウジを「裏切る」湾岸小国たち

対イランで崩れる「スンニ派連合」

2015年6月号

 中東でサウジアラビアとイランの対決が先鋭化する中で、サウジを支援するはずの他の湾岸産油国が、「面従腹背」の姿勢を強めている。アラブ首長国連邦(UAE)やオマーン、クウェートは、米欧とイランの核合意で経済制裁が解除されるのを見越して、イランとの経済関係強化に積極的に動いている。ペルシャ湾岸の商人たちは、『千夜一夜物語』の船乗りシンドバッドさながらの大胆さと巧知によって、マスコミが描く「スンニ派対シーア派の対決」構図とは全く異なる、中東の新しい地政学を切り開いている。 「宗派戦争」よりビジネス  イラン経済制裁の解除に、最も沸き立つのは、UAEの二大首長国アブダビとドバイだ。  ペルシャ湾をはさんでイランとは目と鼻の先の両首長国は、イランの悲惨な経済状況も熟知しており、「商機到来」と、手ぐすね引いている。  UAE最大の銀行「エミレーツNBD」のシェーン・ネルソン最高経営責任者(CEO)は、地元経済紙に対して「(制裁解除は)UAE全体にとって、巨大な可能性をもたらすが、特に金融業界には絶好のチャンスだ。イランの金融業界は技術、サービスが遅れて・・・