ロシアの手に落ちていくギリシャ
「債務危機」破綻後の危うい筋書き
2015年6月号
ギリシャの債務危機がどん詰まりを迎えた。十六億ユーロもの債務返済期限が六月にくるというのに、欧州連合(EU)の指導者たちは、「ギリシャ破綻」の政治決断ができず、「国際通貨基金(IMF)と話してくれ」と他人任せにする体たらくだ。六月初旬が期限の対IMF債務は返済見送りの可能性が強まっており、決断先延ばしのツケはどんどん膨らんでいる。
「ギリシャ、『カネはない』と居直る」。こんな見出しが欧州各地の新聞をにぎわせていた五月末、現地のムードを知ろうと、アテネの高級住宅街でテニスに興じていた富裕層をつかまえてみた。
「チプラス首相、結構じゃありませんか。ほかにどうしろっていうんです?」と、四十代前半の主婦が平然と言う。「国のことを考えているのは、あの人たちだけですよ」と、同年代の別の主婦が続けた。ギリシャの富裕層はあまり政党の支持を他人に話したがらないが、この内閣は別のようだ。
「(EUやIMFの)言うことを聞いていても、年金はもう何度も削られた。それなら唯々諾々としていても、仕方なかろう」と、七十代の年金生活者が言う。リーマン・ショック後、年金はほぼ半減した。欧州各国の首都・・・