米IT業界に新たな「台風の目」
「モバイル決済」世界覇権争いの行方
2015年6月号
「デジタルが現金を超える」「モバイル決済で未来が変わる」。欧米のテクノロジーメディアでは今、こうした見出しが絶えない状況だ。「決済」という古くて新しい二文字が、二〇一〇年代の大きなイノベーションのキーワードになることは間違いない。インターネット黎明期には米ペイパルをはじめとしたオンライン決済サービスの登場によって消費者行動に革命が起こったが、現在はその第二波が押し寄せている。その重要部分が「モバイル決済」の分野である。
例えば、グーグルが一一年に開始した「グーグルウォレット」、アップルが昨年十月に開始した「アップルペイ」などがそうだ。いずれも米国内でのみのサービスだが利用者は着実に増加している。スマートフォンに専用読み取り端末でクレジットカード情報を登録して、カードに代わってスマートフォンで決済できるようにするものだ。
米国を中心に世界中で「決済」のベンチャー企業が次々に資金調達をし、「決済革命」の波に乗ろうとしている。なぜか関心がないのは、我々日本人だけだ。
カード型端末の元年
モバイル決済の短い歴史を振り返ってみよう。二〇一一年、最も早く・・・