滅びゆく国内「石油化学」産業
中国「大増産」で臨終の時迫る
2015年6月号
日本の石油化学業界がおびえる「二〇一七年問題」という時限爆弾の炸裂に向け、カウントダウンが始まった。中国の石炭化学プラントが一七年にも稼働するからだ。そこで無尽蔵の石炭からエチレンなどの生産が始まると、高コストの日本の石油化学会社は滅びかねない。円安効果による増収増益に浮かれる国内業界の表の姿は「最後の宴」だ。なぜ座して死を待つ愚を犯したのか。その背景には、石油精製業界のエネルギー政策と石油化学産業の政策をばらばらに行ってきた日本のタコつぼ行政の不作為が浮かび上がる。
お得意先が商売敵に
日本の石油化学企業は戦後、中東の油田開発の波に乗って安価で大量のナフサを輸入、右肩上がりの成長カーブを描いた。エチレンは合成繊維、合成樹脂、洗剤などの原料となり、工業の中核を担った。しかし二十一世紀に入り、原油価格の値上がりとともに、ナフサ価格も上昇した。中東諸国は原油生産に随伴する天然ガスを原料としたエチレン・プラントの建設に着手。さらに米国が主導するシェール・ガス革命により、シェール・ガスに伴うエタンを原料としたエチレン・プラントの建設計画が相次いだ。その結果、日本の・・・