造船ニッポン「復活」の光明
中韓との「実力差」を世界が再評価
2015年6月号
一九五六年に英国を抜いて世界トップの造船大国になり半世紀近く、その座を守ってきた日本だが、今世紀に入って急激な競争力低下、シェアダウンに直面した。電子、自動車など日本製造業の海外移転が進む中で、もはや衰退のみと考えられていた造船に復活の兆しが見え始めた。円安の追い風に加え、造船も品質や環境性能、グローバル経営力が競争力の要因として浮上してきたからだ。
今年一月、日本の造船業界が久方ぶりに沸いた。船舶受注実績(英クラークソン・リサーチ集計)で、日本が九十九万一千トンと四五・九%のシェアを獲得、三〇・九%の韓国、一七・六%の中国を押さえ、二〇〇八年三月以来の月間世界トップになったからだ。もちろん前後の月は韓国が一位を確保しているが、「日本のトップは決して新春の珍事というわけではない」(造船関係のジャーナリスト)。
船主の評価が回復
今世紀に入って、現代重工業、サムスン重工業、大宇造船海洋など韓国勢に肩を並べられた日本の造船業界は、その後の円高ウォン安で一気に韓国に水を開けられ、〇五年頃からは台頭した中国造船業界にも追い抜かれた。日中韓の三カ国で世界の造・・・