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南沙諸島「攻防戦」の急所

中国が企む南シナ海「聖域化」

2015年6月号

 南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)で中国がものすごい勢いで珊瑚礁を埋め立てている。  埋め立て工事の衛星写真を発表した米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の研究者によると「人類史上空前の埋め立て工事」といい、米太平洋軍は「砂の長城だ」と警戒する。  中国大陸から一千百キロも離れた珊瑚礁の海底に巨大なコンクリートの箱を建設し、その中に大陸から大量の砂を運び込んで土台を造る。小さな環礁では浚渫船がポンプで海底の砂をくみ上げて礁湖を埋めてしまう。  大小七つの珊瑚礁を埋め立てているが、なかでも最大のファイアリー・クロス礁(永暑礁)では約九十万平方メートルの陸地を造成し、三千メートル級飛行場を造成中だ。ここだけで工費は一兆数千億円を超えると推定されている。「台風に遭った漁船が避難するための民間施設」という中国政府の説明がでたらめなことは明らかだ。国家が採算度外視で造るものといえば軍事施設以外にありえない。文字通り「砂の長城」なのだ。 海と空で一触即発の緊張状態に  珊瑚礁の周りでは、中国海軍の艦艇が常時警備している。昨年九月、呉勝・・・