三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

中国が挑む「新グレートゲーム」〈後篇〉

「虚構の蜜月」ロシアとの相克

2015年6月号

 世界最大の陸地であるユーラシア大陸は中国とロシアの二カ国でほぼ半分の面積を占める。ユーラシアのグレートゲームは中ロの覇権争いが中心となるのは必然的だが、両国は「資源」と「市場」というお互い必要なものを持ち合う関係でもある。今は国際制裁と原油価格下落でロシアが沈み、経済大国、中国が優位にあるが、次にどちらに傾くかは日本と欧州連合(EU)との関係、中東情勢にも依る。  連載の後篇ではユーラシアを舞台にした中ロのシーソーゲームを追う。 ロシアを「周辺化」する戦略  五月九日、モスクワ中心部の赤の広場には、グレーのスーツに青系のネクタイという示し合わせたように同じ服装で登場したプーチン大統領と習近平国家主席の姿があった。ロシアの「対ドイツ戦勝七十周年記念式典」であり、カザフスタンのナザルバエフ大統領や潘基文国連事務総長ら多数の首脳も居合わせたが、二人は終始、隣り合わせで動き回り、蜜月ぶりを世界に見せつけた。  ただ、安倍晋三首相もオバマ大統領もメルケル首相らEU首脳もほとんど参加しない中での中ロ首脳の親密さは、頼るべき友邦をもたない両国の孤立をか・・・