なお悪化する「アラビア半島」情勢
「弱小サウジ軍」イエメン介入は大失敗
2015年5月号
「サウジアラビアが行ったイエメンへの軍事介入はアラビア半島に大きな火種を残す。イエメンでの宗派対立は決定的になり未来永劫取り除けないだろう」
サウジの戦略研究家はこう眉をひそめた。
三月二十五日に、サウジは隣国イエメンで跋扈しているフーシ派武装勢力に対する空爆を開始した。アラブ首長国連邦(UAE)などが有志連合として参加し、米国も側面支援をしたが実質的にはサウジによる単独作戦だった。
四月二十一日になって「一定の成果を上げた」として空爆は一旦終了したものの、軍事行動は継続中だとしている。
クーデター恐れ国防を放棄
「サウジ軍にイエメンを制圧する力はない」
中東の軍事に詳しいイスラム専門家はこう語る。実は、サウジ軍の実力は思いのほか低く、実態を見ると「王室護持」を最優先とする同国の歪んだ実情が見えてくる。
昨年、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した二〇一三年世界軍事費ランキングが専門家の間で話題を呼んだ。近年、一位から三位は米国、中国、ロシアで不動だが、四位にサウジが入ったのだ。前年までは日本・・・