英国「小党分立」で始まる漂流
次の首相を選ぶのは「最も危険な女性」
2015年5月号
五月七日に投開票される英国の総選挙で、全く新しいキングメーカーが誕生する。ニコラ・スタージョン党首(スコットランド自治政府首相)率いるスコットランド民族党(SNP)の大躍進で、保守党、労働党ともに過半数に達しない状況だ。「スコットランドの女王」とも称されるSNP党首は、英国の核抑止力見直しを公然と求めており、英国の国際舞台からの撤退は一段と進む状況だ。
四月中旬、エド・ミリバンド労働党党首がスコットランドの首都エディンバラに乗り込むと、党の支持者たちから「あんたじゃ、ダメだ」という厳しい意見を聞かされた。
直前に発表されたスコットランドの世論調査で、SNPは五二%の支持を集め、労働党にダブルスコアの大差をつけた。パニックに襲われた地元労働党幹部は、「ミリバンドではなく、ゴードン・ブラウン前首相(スコットランド出身)を前面に立てて、戦うべきだ」と訴えたのである。
英国の現代政治史では、スコットランドは労働党の金城湯池だった。ブレア時代には、スコットランドの議席の七割を獲得し、政権維持の切り札になっていた。政権の座を追われた二〇一〇年も、スコットランドでは五十九議・・・