米国に潰された「メキシコ農業」
やがて日本も「二の舞」に
2015年5月号
安倍政権が「岩盤規制改革」と称して農協弱体化を進める中で、「国内農業を弱めたらどうなるか」を示す事態が、アメリカの南隣メキシコで起きている。一九九四年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)により、米国の農作物に市場を席巻され、遺伝子組み換え作物(GMO)の襲来でも被害を受けている。日本が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で米国の要求を鵜呑みにすれば、メキシコの二の舞になる懸念がある。
オバマ米大統領がパナマシティで、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長と歴史的会談を行った四月十一日。五千キロ以上離れた、米国とメキシコの国境地帯の州では、農業労働者が各地で抗議のデモ、ストを行っていた。ソノーラ州では、カナネア銅山から排出される汚水をめぐって、鉱山と農業の労働者が共闘して鉱山を占拠。バハ・カリフォルニア州では、低賃金にあえぐ農業労働者が高速道路を占拠した。
「抗議対象は様々ですが、根本的な原因は同じです。NAFTAでメキシコの農業が破壊され、農業労働者の仕事が消えている。仕事にありつけても、一日十時間で七ドル程度しか稼げない。米国の時給以下です」と、在ワシントン研究機・・・