岐路に立つ「在韓米軍」
「対中国戦闘用」に生まれ変われるか
2015年5月号
「グアムに続き、朝鮮半島に高高度防衛ミサイル(THAAD)の中隊を暫定的に配備する問題を検討している」
ロックリア米太平洋軍司令官が四月十六日、米上院軍事委員会聴聞会でこう発言した。この発言に驚いたのが韓国だ。韓国メディアは一斉に「米軍司令官がTHAAD配備の可能性を明言」と報じた。韓国メディアの受け止め方には訳がある。一週間ほど前の四月十日、訪韓したアシュトン・カーター米国防長官が、韓国へのTHAAD配備について「議論する段階ではない」と否定。米韓国防相会談での議論も行われなかったという説明を受けていたからだ。
米陸軍が開発した弾道ミサイル防衛システムの一つであるTHAADは、同じ陸上発射型で、米軍や自衛隊が装備するパトリオットPAC─3に比べて迎撃可能高度が遥かに高い。北朝鮮による弾道ミサイル攻撃に有効であるのは間違いない。ロックリア司令官の発言は、こうした軍事的な確信に基づいたものだ。
米軍は在韓米軍基地の中での展開を考えているだけとされる。それでも、カーター長官が慎重な物言いを選んだ背景には、韓国のなかに渦巻く根強い反対論、慎重論への配慮がある。
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